MAKI Galleryではこのたび、愛知県を拠点に活動するアーティスト、多田圭佑の2年ぶりとなる個展「Middle Place」を開催いたします。多田は、現実と仮構されたものの関係性とその影響に深い関心を寄せ、「在ることと無いことのせめぎ合い」というテーマ、そしてデジタル時代における現実の不確かさを多角的に探究してきました。

本展では、多田自身が彷徨い歩いたバーチャル空間をモチーフにした風景にエイジング加工を施すことで生み出される「残欠の絵画」シリーズにおいて、過去最大となる大作「残欠の絵画 #274」を発表いたします。また本作の発表に際し、木の床や壁面などを絵の具のみで再現しそれらが汚れていく様を描き出した「trace / wood」シリーズ、そして絵の具を素材として精巧に再現したアンティーク調の門扉を斧で破壊する「Heaven’s Door」シリーズからも、代表的な作品を展示いたします。

多田は有限な存在である自分が、この世には存在しえない永遠や無限、仮構された存在を描き出そうとしている矛盾を、常に認識しながら独自の表現に挑んでいます。膨大な制作量と絶え間ない技術探究を経て新たな段階へと進もうとする多田にとって、重要なマイルストーンとなる本展を、この機会にぜひご高覧ください。